○参加者(敬称略):ホッソオ、オタQ、むらっち、とろろ
○活動内容:とろろ氏対オタQ氏&むらっち氏の二面打ち、ホッソオ氏による盤面解説 ○報告担当:とろろ --------------------------------------------------------------- T氏が例会所に着いたとき、M氏は一人で碁盤に石を並べていた。T氏が挨拶をすると、M氏はようやく相手が現れた、という顔をし、並べている碁盤をT氏に見せ、これ分かる?と聞く。どこかで見たな、とその盤面を眺め、ようやくT氏は思い出した。先日のあるプロの公開対局の棋譜だった。 と、ここまで書くとなんだか二人がそれなりに強い二人のように見えるけれど、実際のところM氏は二桁級、T氏もまだよくて実力二段程度である。したがって、そのプロの盤面について評価するなど大それたことはできるはずもない。 それでも何か言わなければとT氏がその盤面について、地は黒が多いけど白は厚いからまだわからないな、などと適当なことを言っていると、otq氏がやってきた。otq氏は挨拶もそこそこに、買ってきたお茶とお菓子を用意し、まるで囲碁よりもお菓子の方が目的だったかのように、お菓子を食べ始めた。 ともあれこれで三人。後になって思えば、このときM氏とotq氏が対局するようにと言っていれば、T氏はその直後にやってきたH氏と打つことができたのだけれど、そのときT氏は何となく、二面打ちしようか、と言ってしまった。そしておそらく二人はきっと、「1対1なら負ける相手でも二面打ちなら集中できないからぼこぼこにできるぜ!」とでも思ったのだろう、躊躇する様子もなく二面打ちの準備を始めたのだった。そしてotq氏とは5子、M氏とは9子で対局が始まった。 まずM氏との対局は、T氏の中押し勝ちに終わった。右下隅の黒の大石が取られたのが大きかった。取られそうな弱い石をよく見てちゃんと守っていれば勝機はあったよ、と偉そうにアドバイスをして、T氏はotq氏との対局に集中する。そう、otq氏との対局の方は、やや負けそうな、怪しい状態になっていたのだ。 盤面では地はやや互角か、という状況だけれど、白には弱い石がいくつかあった。相手の地が増えないようにしつつ、弱い石を守らなければならない。そうしているうちに、時々ちらちら見ていたH氏が、本格的にM氏とともに盤面の検討を始めた。 T氏が見合いにして攻めようと思って打ったキリの一手に対し、H氏は自分なら両方逃げるけどね、と話しながらM氏に解説している。M氏は、ほう、ほう、と分かっているのか分かっていないのか分からないような顔で聞き入っている。T氏としても両方逃げられるのは気づいていて、でもそれをとっかかりに何か攻めたりできないか、と考えていただけなのだけれど、otq氏は読み切れなかったのか、片方を手放したため、わずかに形勢を盛り返したようだった。 ただそれでも細かく、勝てるかは怪しい状態だった。なによりotq氏は、T氏が先手を取ろうと打った手を無視し、他のところに打ってくる。普段のT氏なら、おおotq氏もまた一つ強くなったなぁと感慨にふけるところだけれど、今はそんな余裕はない。 otq氏が比較的長考するからその間に何度も目算し、数目勝てているような、怪しいような、と考える。しかしもはやヨセの段階で、目算したところで結果は変わりそうにない。最後の最後で右下隅を、セキの状態にする手を打ってみたけれど、otq氏は知ってか知らずか、そこを両コウの形にしてシノぐという敏腕を発揮した。こうして対局は終わり、結果はT氏の3目半勝ちだった。ふぅ、とT氏は額の汗をぬぐった。 その後、いつの間にか今日はお開きにしようという話になり、T氏はH氏と打たずに帰ることになった。しかしT氏はこの日の対局に満足していた。勝てたからではない。otq氏が強くなっているのが実感できたからだ。M氏だって、自分の弱い石を見逃しはするけれど、こちらの弱い石に対しては切って攻めてくるなど、以前よりも意味のある打ち方ができるようになっている。二人のこれからが楽しみだ。そうだ、このことをブログに書いて二人にプレッシャーをかけてやろう、とほくそ笑む金曜の夜なのであった。
by deafigo
| 2018-09-29 11:48
| 囲碁教室日記
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